QUIET実験:95GHz帯の観測結果




95GHz帯レシーバーの観測結果がAstrophysical Journalに投稿されました。
観測結果の詳細: arXiv:1207.5034
実験装置の詳細: arXiv:1207.5562


  QUIET実験概要 - インフレーション宇宙論の痕跡を探す!

   わたしたちが現在存在している宇宙は、超高温・超高密度の火の玉状態 (ビッグバン) からはじまり、 約137億年かけて現在の大きさの宇宙に膨張したと考えられています。 では、ビッグバンの前には何があったのでしょうか? それに答えるのがインフレーション宇宙論です。 それによると、 宇宙はそのはじまりに急激な加速膨張「インフレーション」を起こしたとされています。 その際に生成された原始重力波が宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光の特殊な非対称パターンである「Bモード」として観測することができます。 この「インフレーションの痕跡」Bモードの発見をめざして、 QUIET実験は 高度5,000mを超えるチリ・アタカマ高地で CMB偏光の精密観測をおこなってきました。 観測は2008年10月から2010年12月までの約2年間おこなわれ、 11,000時間をこえる観測データを蓄積しました。


[上図] QUIET実験の観測装置と周辺の様子
[左図] 装置の内部の様子(上図のピンク色の四角で囲まれた部分)
[右図] レシーバー内に搭載された偏光検出器アレイ



  


  幅広い角度スケールにわたる Eモードスペクトルの測定 標準宇宙モデルの検証

   CMB偏光の対称パターン成分:Eモードは 標準宇宙モデル(ΛCDMモデル)によって精度良く予言されています。 これまで、その信号強度の有限性が確認されていましたが、 そのスペクトルの形をQUIET実験は精度良く検証しました。 音響振動ピークと呼ばれる、 大きな角度から小さな角度へわたる(下図左から右へわたる) 振動の様子を高い精度で確認することに成功しました。
    
QUIET実験およびその他の実験によるEモードスペクトルの測定結果。 幅広い角度スケールに渡って、そのスペクトルを測定することに成功した。


  世界トップレベルでのBモード探索

   前回(43GHz帯)、上限値を与えた Bモード(CMB偏光の非対称パターン成分)は、 今回の観測(95GHz帯)においてもまだ未発見であった。 世界トップレベルでの探索をおこなっているが、さらなる探索が必要である。     
QUIET実験やその他の実験によるBモード探索リミット。 世界トップレベルでの探索をおこなっている。



  本格的なBモード探索へ向けて

   もう一つ注目すべき点は、 世界最小の系統誤差の更新です。

   Bモードは極めて微弱な信号です。 近い将来、Bモードを確実に発見するためには、検出器感度の向上だけでは不十分です。 従来の観測実験よりも桁違いに小さな系統誤差を達成する必要があります。 下図はQUIET実験が更新した世界最小の系統誤差です。 その実験手法により、 有力なインフレーション理論の検証が可能であることを示唆しています。


QUIET実験が達成した世界最小の系統誤差 (左:Eモードの測定に対する系統誤差、 右:Bモードの測定に対する系統誤差)。 本格的なBモード探索へ向けて、観測装置の強固さを証明した。 多くの有力なインフレーション理論の検証が可能であることを示唆している。

QUIET実験に続けとばかりに、数多くの実験が実験精度を日々向上しています。
Bモードの発見はもうそこまでやってきています!



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KEK QUIET Group